バシュシュシュシュ

まず鳥型のメダロット2体が先手を打った。
ミサイル弾とナパーム弾がそれぞれ発射される。

「グリニー!」

「通常防御します!」

ボボボボボン

『右腕パーツ、ダメージ30%。左腕パーツ、ダメージ30%』
グリニーの大きな両腕が盾となり、飛んでくる弾頭を受け止めた。

「レック、後ろ!」

「うあ!」

ガキン

『左腕パーツ、ダメージ25%。機動力低下』
忍者型メダロットがグリニーの影に隠れていたレックを襲う。
指示がギリギリ間に合いなんとか防御ができた。

「サンニンジャ。離れろ」

バッ

忍者メダロットが離れるのと同時に鳥メダロットたちが散開。
三方から囲まれるかたちとなる。

「飛行型・・・。相性が悪いな」

空中を自在に飛び回る飛行型のメダロットには格闘攻撃が当てづらい。
分が悪い事にレックもグリニーも格闘攻撃しかできない。
しかも、チンタラしていたら他のアタッシャーズが加勢しかねない。

「始めろ!」

バシュバシュバシュバシュバシュ

それを見越してか、奴らは再び一斉攻撃を仕掛けてきた。
雨あられと飛んでくるミサイル、ナパーム。
タイミングをずらして忍者メダロットも突っ込んでくる。

「そうだ!レック、頭パーツを使え!」

「たぁー!」

ボボボボボボボゴン

レックの頭部は特殊パーツ。
ミサイルやナパームといった火薬攻撃を無効化する能力がある。
途中で爆散した弾の破片が降り注ぐ。

「ふんっ!」

「ていや!」

バキキ ガッ

『脚部パーツ、ダメージ60%』
『脚部パーツ、ダメージ50%』
『右腕パーツ、ダメージ40%』
グリニーが鳥、レックが忍者メダロットにカウンターで攻撃を当てる。
鳥メダロットは床に叩き落とされ、忍者メダロットは吹き飛んた。

「調子に乗ンじゃねぇ!」

ザシュザシュッ

『左腕パーツ、ダメージ20%、45%。機動力低下』
忍者メダロットがレックに反撃を始める。
ピンチでもあるが、逆にチャンスでもある。この機会を逃してはならない!

「グリニー。レックが忍者を止めている間に鳥どもを倒せ!」

「はい。マスター!」

ガッガッガッバキッ

ボゴン ボボボボボボ

『右腕パーツ、ダメージ60%。脚部パーツ、ダメージ99%。機能停止』
『左腕パーツ、ダメージ99%。機能停止。頭部パーツ、ダメージ70%』
『頭部パーツ、ダメージ60%。右腕パーツ、ダメージ85%』
反撃を受けながらも鳥メダロットに攻撃するグリニー。
レックはその間、必死に食い止めている。

ザシュザシュザシュ

『左腕パーツ、ダメージ90%。脚部パーツ、ダメージ50%』

「どけ、オノ野郎!」

「どくのはそっち!」

バキン

『右腕パーツ、ダメージ80%』
忍者メダロットが吹き飛ばされる。
鳥メダロットたちもグリニーも虫の息だ。

「レック、グリニーに加勢しろ!」

「でやっ!」

ボゴゴゴ バキキキ

『頭部パーツ、ダメージ99%。機能停止』

チャリン

遂に、1体の鳥メダロットの機能が停止した。
もう1体は足の機能が止まっていて立つ事ができない。

「とどめです!」

バキン

『頭部パーツ、ダメージ70%』
グリニーのハンマーが鳥メダロットの脳天に直撃。
当たりが浅かったようだ。まだ稼働している。

「もう1発・・・」

「グリニー!後ろだ!」

ザシュッ

『頭部パーツ、ダメージ99%。機能停止』

チャリン

凄まじい勢いで走ってきた忍者メダロット。
その鋭い一撃がグリニーを確実にしとめた。

「レック、鳥メダロットにとどめだ!」

「やあっ!」

バキン

『頭部パーツ、ダメージ99%。機能停止』
アッパーが直撃して宙に浮く鳥メダロット。
忍者メダロットは跳び上がり、鳥メダロットに乗った。

「サンニンジャ、やれ!」

「はあああ!」

ブゥーン

忍者メダロットの目が光る。
すると機能停止したはずの鳥メダロットが動きだした。
一体、どういうことだ?
『全パーツ、ダメージ95%。機能回復』

「ヒャ、ヒャクヒ!アレ何なの!?」

「そうか・・・。蘇生パーツ。メダロットを復活させるパーツだ!」

蘇生パーツ。機能停止したメダロットを強制的に回復させる。
メダロットに大きな負担をかけるため、通常のロボトルではまずお目にかかれない。
こいつら、何がなんでも勝つつもりか。

「だが、そいつのミサイル攻撃は効かない。さっき見せた通りにな」

「そんな事はわかってる。復活させた理由は、これだ!」

シューッ

鳥メダロットに乗った忍者メダロットが急降下してくる。
鳥メダロットのメダロッターは目を背けていた。

「くそっ・・・。レック!頭部パーツを狙え!」

バキン ズバッ

『頭部パーツ、ダメージ99%。機能停止』
『左腕パーツ、ダメージ99%。機能停止』

チャリン

メダルが強制排出される。今度こそ完全に機能が止まった。
捨て身の突撃をしてきた鳥メダロットを犠牲に、レックの左腕が動かなくなる。
リーダーも忍者メダロットも非情な戦術を淡々とこなしていた。

「仲間じゃないのか、そいつは」

話しかけながらレックの状態を確かめる。
脚部にダメージが残っているが、右腕と頭部は無事ってところか。

「仲間?こいつらは手下だ。オレの部下。笑わせるな!
お前らンとこのバカ隊長とは違うんだよ!」

ボス。俺たちの隊長。うっすらと記憶が蘇る。
入りたての頃、俺のミスでメダロットに傷を負わされてしまった。
それでも隊長はメダロットを怨まず、
俺に決められた以上の責任を追求しなかった。
俺やこいつのように、誰かを見下したりしなかった。

「そうだな。お前とボスは違う。
その部下である俺たちも、お前の部下とは違う!」

「たあっ!」

レックが走り、跳び上がる。
いい場所取りだ。対して忍者メダロットの後ろは大型の機械。
逃げ場は限られている。

「レック、体を捻れ!」

ググッ

「なにっ・・・」

忍者メダロットに機能停止した左腕のオノが迫る。
上半身を捻ったことで遠心力が生じたからだ。

ビュン

オノが空を切る。忍者メダロットが大きく身を屈めて回避した。
先ほどからオノでの攻撃を受けていたからなのか。
過剰ともとれる回避行動は致命的な隙でもあった。

「やっ!」

バキッ

『頭部パーツ、ダメージ10%』
レックの左足が忍者メダロットを蹴り上げる。
控えていた右の拳で追撃のストレートパンチを放った。

バキンッ ガッ

『頭部パーツ、ダメージ55%』
真後ろの壁に衝突した忍者メダロットが崩れ落ちる。
俺は最後の指示を出した。

「思い切りやってやれ!レック!」

「はあ!!」

バキィッ

『頭部パーツ、ダメージ99%。機能停止』

チャリン

横殴りにされながらメダロットからメダルが外れる。
リーダーが崩れ落ちた。

「そんな・・・こんなはず・・・」

茫然自失に呟きながら下を向いている。
俺はレックと肩を抱き合ってから、改めて向かい直った。

「さあ、約束だ。自首を・・・」

バキャ

「そこまでだ!全員取り押さえろ!」

ワアアアアアアアアアアア

「げっ!?」

セレクト隊が扉をぶち破って乗り込んできたのは、その直後だった。

 

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