ガチャ バタン

店に置かれた見慣れない品々。
防刃服、スタンガン、金庫。他にも色々。

「ここは何のお店?」

バルチャーが頭を左右に振りながら聞いてくる。
黙って目的の物を探しているラ・ア・ゲダマーを見習わせたい。

「黙って運べ。ほら」

「わっ」

次々に商品を渡す。バルチャーは受け取る度によろめいていた。
カウンターに着く頃には歩くこともままならない状態に。

「まったく・・・」

疲れ知らずのメダロットのくせに情けない奴め。
会計を済ませて家に帰り、買ってきた品を奥の部屋に積んだ。

「次は重いから荷台を出してくるんだ」

「わかりました。マスター」

ラ・ア・ゲダマーが準備を始める。
その様子を見たバルチャーが大声を出した。

「ええええ!また行くの!?」

「ホームセンターに行く」

話を聞いた途端にばったり倒れてしまった。
行動が不可解極まりない。こいつ、まさか不良品か?
メダルには様々な性格が存在するため判断は難しい。
とりあえず、今は買い物を優先させることにする。

「ラ・ア・ゲダマー。連れてこい」

「はい」

「もう足が動かない・・・」

バルチャーをラ・ア・ゲダマーに引きずらせながらホームセンターへ。
出費がかさむが、必要だからと割り切った。


夜。テーブルの上に町内の地図を広げる。
俺とラ・ア・ゲダマー、バルチャーは上から覗き込んだ。

「これらがアタッシャーズの集まる位置だ。全8箇所。
集会時間、集合人数が不明確なために今日だけでは捕らえきれない。
数日に分けて作戦を行わなければならない。
内容は打ち合わせの通りだ。バルチャー」

「ボク?」

バルチャーが不思議そうに聞き返してくる。
俺は頷いて話を続けた。

「メダロットのお前にはリミッターがかけられている。
人間でいうところの理性といったところだ
人を傷つけかねない行動は通常、メダロットには許されない」

今度はバルチャーが頷く番だ。

「しかし、何事にも例外がある。
セレクト隊のメダロットはその例外的な行動を迅速にできるよう訓練されている。
お前にもそれができるようになってもらわなければならない」

まだうんうん頷いている。
こいつには口で教えるより体で教えた方が早いかもしれない。

「今夜中に覚えろ。いいな」

俺たちは訓練を開始した。


「もうダメ・・・」

ぐったりしているバルチャーをラ・ア・ゲダマーに運ばさせる。
時刻は夜明け前。薄暗い道をただ歩いた。
別パーツで訓練したからパーツに疲労は残ってない。
メダルとティンペットの疲労は残ってしまうが。

「あれだ」

建築途中のまま放置された一軒家。ここが最初のターゲット。
俺たちはさすまたを持ち忍び寄った。

「3、2、1、0!」

ドカン ドカン ドカーン

2体の攻撃を受けて外れかかったドアを蹴飛ばして乗り込む!
確認できるアタッシャーズは4人。調べ通り、この場所は集まりが悪い。

「なっ、なん、うわー!」

少年のひとりを取り押さえて縄で縛る。
ラ・ア・ゲダマーも順調にひとり捕らえたのが横目で確認できた。

「やだ!離れて!」

バルチャーはといえば、足を掴んで引きずられてる。
最初の現場にしては上出来だ。

「そのまま足を引っ張ってろ」

少女の手を縛る。残るは少年ひとり。

「くっそ!お前らどこのモンだ?いきなり卑怯だぞ!」

10代前半らしき少年は壁際に逃げながらそう叫ぶ。
見るからにまだ下っ端の下っ端ってところか。

「ならどうしろって言うんだ」

ルールを破ったツケが回ってこないとでも思ってたのか。
動機はどうあれ、ルールを無視すれば目をつけられる。
それをここらで教えてやる必要があった。

「もう逃げ場はない」

「待て!そうだ、ロボトルしようぜ。あんたが勝ったら抵抗しない。
ただし、俺が勝ったら見逃せ!」

少年は引きつった笑顔でメダロッチを見せつけてきた。
他の手段で捕まえられるなら、それを試してみるのもいい。

「話はわかった。メダロットを出せ」

「へへへ。後悔すんなよ・・・」

ジジジジジ

殺風景な部屋が照らされる。
転送されてきたメダロットはバッタ型だ。

「ラ・ア・ゲダマー。出口の前で見張ってろ」

「はいマスター」

縛られた少年少女の監視役はラ・ア・ゲダマーに任せる。

「もしかしてボクが戦うの?」

「そうだ。いけ」

こいつの性能を実戦で確認したい。
バルチャーはおずおずと目の前に歩み出た。

「強そう・・・」

そう小さく呟いて。

 

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