メダ遊の2Fは古い言葉で言うところのビデオゲームコーナー。
似た形のゲーム台が規則的に置いてある。
頻繁に来てるせいで、どこに何が置いてあるか覚えてしまった。

「あ。今日はまだ、メダロッセオやってない」

「何だって?」

「ウチも知らなーい」

どっちも詳しくないらしい。オレが案内してあげよう。

「ついてきて。説明するから」

白い筐体の前にふたりを呼ぶ。
操縦席にセビトを座らせて料金分を投入してもらう。
目の前のスクリーンに機体選択画面が表示された。

「お、おい。どうするんだ」

「メダロッセオはメダロットになって戦うゲームなんだ」

うろたえてるセビトと、横から覗くフウミに説明する。

「使えるのは格闘、万能、射撃の3タイプ。
他にも2台設置してあって、そこに座るプレイヤー同士で戦うんだ。
決定するとステージ選択になるからセビトが決めてよ。
時間内に集まらないとCPUが参加しちゃうから、オレたちも座らないと」

「あった。あそこね」

フウミが離れてく。オレも行こうとすると、セビトに呼び止められた。

「どうやって操作するんだ?」

「操作方法は・・・」

教えようと画面を覗く。ゲーム開始までの時間が近づいていた。
別の誰かが席に着くこともある。早く行かないと。

「やればわかるよ。オレも準備してくる」

「待て、教えていけ」

セビトの呼びかけを無視しながら台に走った。


登録カードを通してスキル選択画面へ。
このゲームにはスキルという技の装備欄がひとつだけある。
今回は初心者のふたりに合わせて、オレも初期スキルを設定した。
ステージは氷上。デフォルトステージだ。
セビト、決定ボタンを連打したんだな。
『ROBOTOLE FIGHT』
画面に文字が浮かび上がった。
レバーを動かしてふたりを確認する。
ノクトキャットとシンセイバーが小さく映った。
オレはペダルを踏み込んでユニトリスを前進させる。

ガガッ

進路上の地面にヒビが入った。シンセイバーの射撃攻撃だ。
動き方がわかってないのか、その場でぐるぐる回りながら乱射している。

バリバリバリ

ノクトキャットがこっちに走ってくる。
手元のボタンを押して腕パーツで応戦だ。

ガガガガガ

装甲ゲージを減らしてもノクトキャットは止まらない。
ここでは射撃攻撃を受けても反動がない。
逆に格闘攻撃で相手を吹き飛ばすことができる設定になってる。

バリバリバリ

初心者とは思えない正確で素早い攻撃を繰り出すノクトキャット。
オレは攻撃が当たる前にユニトリスを防御態勢にさせた。
しかしノクトキャットはそのまま横を走り抜けていく。
こっちもまだ動き方がわかってないのか?

ブンブン

シンセイバーがソードを振り回しながら近づいてきた。
防御態勢を解き横に動いて離れるユニトリス。

ズバン

ソードに触れていないのに吹き飛ばされる。
セビトがスキルの『範囲拡大』でも使ったのかも。
氷上の端っこまで吹き飛ばされたユニトリスを進ませる。

ドボン

ノクトキャットが海に落ちた。
フィールド外に吹き飛ばされたら即、ゲームオーバー。
だから格闘攻撃をうまく使えばダメージを受けても関係ない。

ガガガガガ

シンセイバーの足元に向けて射撃攻撃を撃つ。
氷に入ったヒビが少しずつ大きくなる。

ドボーン

シンセイバーが海に落ちた。
『YOU WIN』の文字が画面に浮かび、スキル奪取選択に移る。
シンセイバーからスキルを奪った。やっぱり『範囲拡大』のスキルだ。
オレは手持ちスキルの情報を更新して台を降りた。


登録カードを持ったフウミと舌打ちするセビトに合流した。

「ふたりとも、初めてにしてはいい線いってた」

「ウチどっちにやられたの?タダシ?」

「シンセイバーがセビトだろ?」

セビトは黙ったまま首を縦に動かす。

「スキル使ってきたからやられそうになって・・・」

「いいから、次行くぞ」

ぶっきらぼうに言って先に行ってしまった。

「すぐムキになるんだからー。友達少ないでしょ?」

「余計なお世話だ」

フウミがからかいながら後についていく。
オレはつい足を止めてしまう。
友達か・・・。
頭を振ってから、ふたりの後を追いかけた。

 

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