「ヌゥオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

ギギギギギギギギギギギギギギギギ

ハッカーを名乗る大男は降りる隔壁を次々に破壊していっている。
小さいながらも機密保持には気を遣っているはず。
現に常時体制で警備体制が敷かれている。
にも関わらず鮮やかに・・・。鮮やかではないけれど侵入してきたあの男。
本当にハッカーなのかもしれない。

ジャブジャブ

侵入者よりも先に対処すべきこと。それは浸水の原因。
実験室に辿り着くと予想していた通り、大穴が空いていた。
すさまじい勢いで濁流が侵入してきている。
穴は上へと通じているよう。
つまり地上から穴を掘って侵入してきたということ。
信じられないことだけれどあの怪力ならやりかねない。
監視カメラも台風の真っただ中じゃ形なしだったに違いない。
とにかく、穴を防がないと。

「メダロット転送!」

ジジジジジジジ

白衣をまくり左手首に巻いたメダロッチからメダロットを転送する。
ほどなく出現したKWG型メダロットに機材を運んでもらうことにした。

「ゾーリン、壁穴を塞ぐのを手伝って!」

「わかりました。マスター」


オレたちを起動させた男はひたすら壁に突撃している。
このままヤツに任せていれば脱出できそうだが、その間とっても退屈だ。

「なあ、あんた!名前くらい教えてくれよ!」

ドリルの駆動音が収まるのに合わせてオレたちは男を見上げて叫ぶ。
男はこっちに向かい直るとでっかい声で短く叫び返す。

「ゴウカイランキ!」

ついでなのか、両隣にいたメダロットを指差しながら名前を叫び始めた。

「交通障害破壊弾仕様硬式突進型偶像一三零七号バージョン2!」

「コング2って呼べ!」

ずんぐりとしたカブトムシ型メダロットが言った。
次に騎士型のメダロットを指差して叫ぶ。

「ビッグオブシールドワンダースナイプエディション三点六型!」

「エディさんと呼んでください」

ちぐはぐなヤツら。
オレたちも名乗ろうとしたがまだ名前がないことに気づく。
考えていると体に貼られたシールのようなものが目についた。
なんだ、オレたちにも名前があったのか。

「オレはウタゲズキー」

「ヒヒヒッ。ボクはオドロモンス」

「ワシはイロイガンナーじゃな」

それぞれ名乗る。男はニヤーっとした表情でオレたちを見た。

「騒ぎたいか!?」

顔を見合わせるオレたち。メダルから沸き上がる感情は、全員同じ。

「騒ぎたい!」

「ついてこい!ワハハハハ!」

ギギギギギギギギギギギギ

壁をまた壊しながら男は笑っていた。
オレたちもつられて笑う。今日は、とことん騒ぐぞ!

「援護はワタシたちに任せて下さい」

エディさんが言った。オレたちはただ騒ぐだけでいいんだ。
階段が見えてきた。前進しようとすると降りて来る人間たちがふたり。
血相を変えながら叫んでいる。

「メダロット転送!いけ、タラバクラバS!」

ジジジジジ

足が何本も生えたメダロットが2体、いきなり現れた。
ランキは立ち止まる。オレたちもそうだ。
立ちはだかるヤツらがいる。
動き始めて間もないオレたちでもやることはわかっていた。

「ゴー!」

ランキが叫んだ。オレたちは全身を使って突破する。
そうせずにはいられないからだ。

バンバン ピュン ドカン

チャリン

あっという間になぎ倒してオレたちは階段を上る。
また壁が動いてオレたちの行く手を阻むが、そんなものはないのと同じ。
ランキがでかいキカイを振りかざした。
まだまだ、騒ぎ足りないぞ!

 

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