「お前が負けたらティンペットは諦めろ。ついでにそのメダロットをいただく」
「お前が負けたらティンペットは返してもらう!」
「いいだろう。このロボロボ団ムカデ、首領サマに誓って必ず返す」
目の前にいるオトコは不気味にニヤついている。ハッキリ言って嫌いなニヤけ顔だ。
洞穴の中はところどころにランプがぶら下がってるが、それでも薄暗い。
パートナーがやられた他のロボロボ団は隅っこで応援しているようだ。邪魔をするつもりはないらしい。
「始めるぞ!」
団員が合図する。途端にオトコのメダロットは動き出した。
ウルと俺もほぼ同時に攻撃を撃ち込む。
ドウンッドウンッ
『右腕パーツ、ダメージ28%』
『左腕パーツ、冷却中』
速い。命中力の高い左腕の攻撃でも捉え切れないスピードだ。
それもそうだ。相手は四本足の『多脚型』ここは足場が悪い『洞穴』
平坦な地面で戦いなれたウルと荒れた地形が得意な相手の多脚メダロット。スピードに差がある。
「どうした、先ほどの戦いで弾切れか?」
大手を振って大げさに余裕を見せるオトコとそのメダロット。動きがソックリだ。
ドウンッ
『右腕パーツ、ダメージ59%』
すかさずライフル弾をおみまいする。
「スキだらけだぜ。ロボロボ団その1」
「ムカデだっ!」
気に障ったらしい。ようやくまた動き出した。
それよりもさっきから気になっていることがある。
ドウンッドウンッドウンッ
『右腕パーツ、ダメージ99%。機能停止』
「ホー、やるな」
「さっから攻撃してこないけど、負けを認めるなら早めにしてくれよ」
「負けました。降参です」
嘘だ。絶対に。
視線をチラチラ動かしながらコーサンするヤツがいるもんか。
「ウル」
「わかってる!」
ウルが全砲門の安全装置を解除する。下手な小細工はいらない。
「3、2、1・・・撃て!」
ドドドドドドッドドドドドドドドドッドドドドドドッ
銃口がめちゃくちゃに暴れ出す。壁、地面がえぐられていく。
「ヒドいねー。降参したヤツに全力で攻撃するなんて」
脚部と両腕パーツが機能停止したトカゲメダロット。
俺のカンが正しければ、まだ終わっていない。
「リニアカノン1だ!」
「うん!」
ウルの頭部パーツにペイントされた弾丸マークがスライドする。
現れたのはデカい砲門。メダロット社に問い合わせしてギリギリまで火力を上げた特注品を、
俺好みの火力に底上げした『必殺ワザ』
「撃て!」
ドゴムッ!
カノン砲から巨大な弾丸が発射される。壁が大きくえぐられた。
と同時に。
「サグリザー、トラップ発動!」
雨あられと飛んでくる銃弾が防御態勢を取ったウルに襲いくる。
『頭部パーツ、ダメージ46%。発射口損傷。使用不能』
『右腕パーツ、ダメージ52%』
『左腕パーツ、ダメージ99%。機能停止』
『脚部パーツ、ダメージ74%。移動力低下』
メダロッチからぞくぞくと知らされるダメージメッセージ。聞きたくない。
「耐えるとは想定していなかった。ホント」
「やりやがったな・・・」
「うう。ワナを使うなんてヒキョーだぞ!」
ドドッ
ウルがライフル弾を撃つ。
『頭部パーツ、ダメージ34%』
「ワハハハ。最高のホメ言葉だ、それは」
「ムカデ様、急いでくださいロボ!」
いつの間にかロボロボ団たちは逃げていたらしい。ゼンゼン気づかなかった。
「残念だが勝負はここまで。サヨナラだ」
「逃がすか!撃てウル!」
「えいっ!」
ドンッ
メダロッチを構え指示を出す。
しかしすぐに四方八方からの射撃にさらされた。
『頭部パーツ、ダメージ72%』
「待てええええええ!!!」
「ハハハハハ・・・」
逃げていくムカデ。踊る俺たち。
トラップを全て破壊した時には、ヤツらは影も形もなくなっていた。