向かい合う3体のメダロット。
まだら模様のメダロットは右腕が機能停止。
左右の腕と脚部パーツに少しのダメージ。
アンミッパーは最初のミサイル攻撃で右腕が機能停止。
左腕にダメージが残っている。
エイムシザースはメダフォースを直撃こそしなかったものの。
右腕が損傷。頭パーツに大きなダメージを受けてる。
ランチャービートはすでに本体の機能が停止。
圧倒的に不利な状況だ。
それでも、相手から強みが消えたのは大きい。
「メダフォースが使えないあいつなら!」
ブオン
エイムシザースが近づいて左腕パーツを振り回す。
まだらメダロットは軽やかに飛び下がって着地した。
ザサーッ
「そんな大振りな攻撃じゃマーブルハンターには絶対に当たらないぜ」
余裕しゃくしゃくで言う少年メダロッター。
ポーン
そこにアンミッパーの攻撃が飛んでくる。
しかし・・・。
バッ
また回避した。その勢いに乗ってエイムシザースに向けて走ってくる。
「もらったぁ!」
ガゴッ
『左腕パーツ、ダメージ99%。機能停止』
「チッ」
「ジロウ!?」
飛び出してきたアンミッパーが攻撃を受け止めた。
受け止めたはずだった。
ガシュ ガゴッ
『頭部パーツ、ダメージ99%。機能停止』
チャリン
「アンミッパー。どうして勝手に・・・」
ジロウが手をにぎりしめている。
だがおれには、その意味を考えてる時間なんかなかった。
「逃がすなエイム!」
ガチッ
キリサキバサミがまだらメダロットの左腕に食らいつく。
ジロウたちが作ったチャンスを逃がすわけにはいかない!!
「こいつ!振り離せマーブルハンター!」
「離すもんか!」
ブンブンブンブン
すごい力で振り回されるエイムシザース。
どれだけ振り回されても、決して離そうとはしない。
『左腕パーツ、ダメージ23%、24%・・・』
「木に叩き付けろ!」
バキッ
『左腕パーツ、ダメージ99%。機能停止』
引きはがされて倒れるエイムシザース。
後ろに下がって様子をうかがうまだらメダロット。
「とどめだ!撃て、マーブルハンター!」
ドドドッ
真上に撃ち出されるミサイル。それらが向きを変え始めた。
「エイムーーーーーッ!!!」
「うおおおおおおおっ!!!」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
エイムシザースの頭パーツから放たれた電磁波。
それはミサイルの機能をおかしくさせた!
バシュー
むちゃくちゃな動きで落ちてくるミサイル。
エイムシザースは腕を構えた。
ドゴゴゴッ!
『左腕パーツ、ダメージ99%。機能停止』
『頭部パーツ、ダメージ99%。機能停止』
エイムシザースに1発。まだらメダロットに2発。
ミサイルの雨が直撃した。
チャリン
地面に落ちるまだらメダロットのメダル。
少年はそれを拾うことなく、まだらメダロットをかついで歩き出した。
「おい、待てよ。メダルを捨てていくのか?」
おれは呼び止める。少年は振り向かずに言った。
「そんな戦うだけの弱いメダル、俺にはもう必要ない」
ジャラ ジャラ
鎖の音を残して、少年は非常口から去っていった。
あれからしばらくして。
おれは修理に出していたエイムシザースを受け取りに出かけていた。
サキジたちのメダロットはおれよりずっと早く修復が終わったらしい。
まだらメダロットと少年は、あれ以来ずっと姿を見てない。
ただうわさでは、近所のセレクト隊が違法メダロットを使うメダロッターを捕まえた
らしい。
それがあの少年かどうかはおれにはわからない。
やがてメダロット修理屋の前に到着する。
奥から1体のメダロットが歩いてきたのが見えた。
「マスター!」
飛びついてくるエイムシザース。おれは腕を広げて抱きとめた。
「おかえり。エイム!」